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封印されしエグゾディア


教養というのは大事である。


中でも国語力。

読む 書く 聞く 話す

この能力が養われていないと 自分の意志とは関係なく 人に迷惑をかけることになるし、また自分がダメージを負うこともある。


子どもは まだいい。 友達や家族とのやりとりで、どうしてうまく伝わらないんだろうとか、たかしくんにひどいこと言われた

とかそういう経験を積んで学習していくものだと思う。


ただし大人になると ヤヴァイ。 

自分の感覚が確立してる場合が多いから、自分がおかしいことに気が付かない。


人の言っていることをうまく理解できてない、自分の言いたいことをうまく表現できていない、そういうことになる。

何してきたかわからないけど、そういう育ち方をしてきた大人に関わるとやっかいである。


自分も気を付けたい。日々勉強である。


早漏は恥。



よく アスぺとか糖質とか 発達障害なんて言葉を聞くけど、教養が足りないことと それらの境目は難しいと思う。



今日の記事は そんなお話。






思い返すともう10年ほど経っていることに気付く。


当時、二十歳そこそこだった私は、週末の夕暮れ時に愛犬を連れて近所をよく散歩していた。


駄菓子屋 兼 おもちゃ屋 みたいなお店の入り口付近で、店内のショーケースにベッタリ張り付いている少年を見かけた。


小学生の男の子だろう。


何を見ているのかチラッと横から見てみると、どうやら遊戯王カードのようだ。



懐かしい気持ちになった、私も小学生の時は ポケモンカードや プラコロといった玩具で 休み時間に級友とよく遊んだものだった。

当時はレアなカードなどを持っているだけで誇らしかったし、羨望のまなざしを向けられる存在になれたものである。





少年の持つサッカーボールは汚れていて、靴もボロボロだ。

カードというのは意外と値が張るもので、小学生が容易く買えるものではない。

身なりで決めつけた訳ではないが、その少年もきっと 簡単にカードを買えるような状況ではなかったのだろう。





二十歳そこそこになれば、バイトでもして欲しいものは大体変えてしまうが、小学生はカードですら喉から手が出るのどの垂涎のアイテムなのだ。その気持ちは現在でも思い出せる。


その我慢も、成長の糧になるだろう。 さらば少年。


と思い、その場から離れそうと犬のリードを軽く引っ張った時だった。


「やったー! 今日こそはレアカード入ってるべ!」

私と少年の間を、別の少年とその親らしき二人組が通りすぎていった。

どうやらその少年Bは、遊戯王カードを父ちゃんに買ってもらった様子だった。

しかもボックス買い。



そして注目すべきはその 「今日こそは」というセリフである。

どうやら買ってもらっているのは今日に限った話ではないらしかった。



家庭によって 経済事情や価値観は異なるが、確実に格差というのはあるのである。



サッカー少年は寂しそうな顔をしていた。

当たり前だろう  目の前で同年代の男の子が遊戯王カードをボックス買いしているところを見せつけられたのだから。



私はいいことを思いついた。

私は犬を入り口の柱に繋いで、レジに向かい遊戯王カードを購入した。

それを少年に見えるようにその場で開封してみせた。



くぅー 悔しかろぅ 悔しかろうぅ。


二連続も目の前で遊戯王カードお買い上げの瞬間を見せつけられるなんてな。



しかし私は機嫌が良かった。




これ、あげるよ



少年を目を丸くさせて 「え!?いいんですか??」と言った。



敬語もしっかりしていて、なんて礼儀ただしい子なんだ。あげてよかったぜ。
先週の合コンに来ていた女性たちより随分と立派な人間に見えた。


「あ!エグゾディアの右足だ!」少年はうれしそうな歓声をあげた。


私は軽く笑顔を見せ、犬のリードを柱からほどいて立ち去ろうとした。




そのときちょうど、向かいのスーパーから買い物を終えたらしい、少年の母親が出てきた。


「あら!どうしたのそれ!」

「あのお兄ちゃんがくれた」

そんなやりとりが聞こえてきた。



「知らない人に貰ったの!? すぐに返してきなさい!」

母親の怒号が響き渡った。



少年は悲しそうに私のところにカードを返しにきた。


合コンで初めて知り合った人に奢らせといて何も思わない人もいれば、知らない人にカードをもらうだけで怒鳴り散らす人間もいるというのが不思議でたまらなかった。


「いえ、いいんですよ。 この子は先ほど、うちの犬が落ちているチョコを食べようとしているのに気づいて、止めてくれたんですよ。

この子が気付かなかったら、いまごろ大変なことになってました。お礼の気持ちです。」



少年はポカンとした顔で私の方を見ていたが、私はただ少年に向かって小さく頷いたのであった。







その翌週、またおもちゃ屋の前を通りかかったとき、 店主に呼び止められた。


「ちょっと、お兄ちゃん」


よくわからんが怒られると思って少しビビった。



「小学生の男の子がね、犬を連れてる背の高いお兄さんを見かけたら、これを渡してくれって。心当たりあるかい?」



そこには 犬を連れている私の姿であろう 色鉛筆で描かれた似顔絵があった。

「あ、きっと僕のことです。ありがとうございます。」



店主からそれを受け取り、そのまま去るのもなんだから、ビッグカツを買って帰った。

(なぜか似顔絵の髪型がモヒカンだったのは謎だが。)



それから八年後、少年は高校の軽音学部に入ったらしく、 たまたま地元のライブハウスが企画するブッキングライブで私たちは再会した。


私はまったく気が付かなかったが、少年は私を見たとたん分かったらしい。


子どもの記憶力はすごい。


そして少年が高校を卒業したその翌春、私たちは一緒にバンドを組んだ。四人中二人がモヒカン姿というパンチの効いたロックバンドだ。




「聴いてください。乾いた叫び。」








だったらいいなあ
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